縁の下の力持ち、なんてレベルではなく社会を支えまくっていると言っても過言ではないのが「ねじ」です。
なぜいきなりねじ?と思われるかも知れませんが、僕は前々から気になっていたのです。
特段ねじについて超詳しいとかいうわけではありませんが、今回は最低限覚えておくときっとねじを褒め称えたくなるねじの日本での歴史と凄さについて。
日本にねじが伝来したのは鉄砲から
そもそものねじは、起源が明確ではないものの水揚げの為のスクリューが始まりだろうとされています。
確かに、スクリューを回すだけで地下の水を汲み上げられるのですから大発明です。
それが後に締結用ねじとして使われるようになります。
そして日本に来たのはあの有名な鉄砲、火縄銃です。
種子島にポルトガル人が1543年に持ち込み、火縄銃として戦国時代に大革命を起こすわけですが、その火縄銃に使われていたねじが、日本での初ねじだったのです。
信憑性は怪しいようですが、種子島に住んでいた八板金兵衛という男性がねじの製法をどうしても知りたくて自分の娘をポルトガル人に嫁がせたのだとか。狂気的なまでに知りたかったんですね、ねじの製法が。
製法を知り火縄銃は日本中に普及しましたが、どういうわけかねじを作る文化というのは日本では根付かなかったようです。
その証拠に、江戸時代にはねじが使われた製品というのが建築物も含めほとんど無いのだとか。
なるほど、江戸時代から感じるあたたかみは木材メインであり、ねじのような鉄が使われていないことからも来ているのかも知れません。
ねじを作る為に必要な材料は日本では採れず、江戸時代になり太平の世になったので火縄銃も必要なくなり、さらに鎖国もすることになった為にねじを作る必要がなくなった(さらに材料も確保できなくなった)のが主な原因ではないかと言われています。
――そしてねじが本格的に日本でも使われだすのは1800年代になってから。
幕府重臣であった小栗上野介という人物がアメリカを訪れ、そこで軍艦を建造する造船所に度肝を抜かれました。
その時一本のねじを小栗は持ち帰り、造船所を作ることになります。
そこから一気に、日本の近代化は始まったのです。
一本のねじに始まり、急速に日本での産業は頑丈さと正確さを増し、多くの近代的製品がどんどんと作られていきます。
まさにねじが日本を、文化を変えたのです。
現代でも全てを支えるねじ
無数に種類のあるねじ。
ボルト、ナット、ビス、木ネジなど、本当にたくさんの種類が存在します。
そして、ねじはあらゆる物に使われています。
建築物はもちろん、車もかなりのねじを使っていますし、おそらく家にあるものほぼ全て、ねじが使われています。
僕がこの記事を書くきっかけとなったのが、電車に乗っている時に見えたねじでした。
電車通勤の方はぜひ車内を眺めてみてください。
吊り革の根本、車内モニターの隅、様々な吊られている金具の接合部分。
本当にネジだらけ。
さらに、一種類ではなく、部分によって使い分けられていることもわかります。
適当に回して締めるだけではない、ねじの活用法がいかんなく発揮されているのです。
ぜひ、見てみてください。本当に色々な部分が、色々なねじによって固定されているのがわかると思います。
そして、家にある物もほとんどがねじで組み上がっていることがわかると思います。
イスを見れば裏には四隅にねじが。
パソコンも開けてみれば無数のねじが。
ドアも、レンジも、コンロも、電気も、ねじで固定されている箇所が必ずあるはずです。
ねじがもし無かったら、それらはもっと脆い物になっていたでしょうし、今のように安全に使うことができなかったかも知れないのです。
ねじで世界は支えられているのです。
ねじと釘はどう違う?
最後にちょっと踏み込んだ話。
ねじと同様に多く使われている釘ですが、その違いがわかりますか?
釘は、見た目の通り真っ直ぐに打ち込みます。
打てば入っていくので扱いやすい反面、下からの力が加わると摩擦の力がほぼ無いので簡単に抜けてしまいます。
一方のねじは、ドライバーなどでねじ込みますよね。
ねじというのは、簡単に言えば回転の力を直線の力に変換して固定する機構のパーツです。
回転させることで下に入っていくのですから、難しく考えずともそのまんまの意味です。
そして沢山の溝がスクリュー状に刻まれているので、釘とは違い非常に抜けにくい構造になっています。
また、釘は厚みが均等で横からの衝撃には強い、つまりは折れにくいのですが、ねじは溝があり厚みがバラバラになっているために横からの衝撃に弱く折れやすいです。
一長一短、それぞれに適切な用途というのがあるわけです。
それでも、ねじのガチっと締まる感じは別格ですが。
まとめ
ねじが世界を支え、ねじが文明を開かせたと言っても過言ではありません。
たかがねじ、されどねじ。
面白い話を聞いたのですが、東京でのオリンピック開催が決まった数年前、ねじの会社の株価が一気に上がったのだそうです。
オリンピック開催に伴う膨大な建造物や施設の整備・建造には必ず大量のねじが必要になります。
知っている人は知っている、ねじがいかに産業を支えているかが垣間見える現象ですよね。
この機会にぜひともねじのすごさ、改めて考えてみると何か違った世界が見えるかも知れません。
そしてご自身がねじを使う際には、一度でいいのでじっくりとねじを観察してみると、螺旋の美しさ、不思議さにきっと魅了されることでしょう。
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