宇宙よりも遥かに身近にあるにも関わらず、未だに未知な部分が非常に多い深海。
宇宙と深海の調査の難しさはよくテーマになるのですが、なぜそれほどまでに深海調査というのは難しいのでしょうか?
一般的に、深海というのは水深200m以上の深さを指します。
そしてそれ以上の深さで6000mまでは深海帯と呼び、さらにそれ以上の深さを超深海帯と呼びます。
今現在確認されている地球で最も深い深海というのが、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵と呼ばれている10,911mの海淵です。
この最深部には日本の無人潜水機「かいこう」も潜っていますし、なんと有人でも1960年にスイスで設計、イタリアで製造の「トリエステ」に二人が乗った状態で到達。
更には『タイタニック』や『アバター』の監督でお馴染みの映画監督、ジェームズ・キャメロンも2012年に「ディープシーチャレンジャー」という深海探査艇で最深部へ到達しています。
しかもジャームズ・キャメロン監督は一人で行きました。キャメロン監督マジ頭おかしい(良い意味で)。
タイタニックきっかけなのは間違いありません。
1万メートルの深海の世界とか、ちょっと想像できませんし、むしろ何もないんじゃない? とか思っちゃいます。
というわけで今回は、最低限知っておくとぐっと面白くなる、母なる海の深部「深海」についての最低限の知識紹介です。
なぜ深海調査は難しいのか?
宇宙と比較されるほどに難しいと言われる深海での調査。
それはなぜなのでしょうか?
とんでもない水圧
素人考えでもまず思いつくのが、水圧のこと。
水圧というのは、10m潜る毎に1気圧ずつ上がっていき、先に書いたマリアナ海溝最深部のチャレンジャー海淵では、実に108.6MPa(水圧の単位でメガパスカル)というピンと来ない水圧がかかるのですが、それは1センチの面積に10キロ入りのお米の袋を108袋載せるのと同じぐらいの力。
親指の先っぽに10キロのお米を108袋載せるようなものなので、普通にへし折れて潰れます。
というかまぁ、想像するのすら難しいレベルの力だということです。
それに耐えるだけの探査艇を作る人類ってやっぱりすごいと思います。
因みに生身の人間が潜れる限界は、フリーダイビングの世界記録を参照すると214m。
普通の人がやったら気絶・失神どころが死んじゃう可能性もあるので真似しないようにしましょう。
また、リュック・ベッソン監督の映画『グラン・ブルー』の主人公のモデルになたジャック・マイヨールもフリーダイビング界では超有名。
情報伝達も難しい
宇宙でしたら、電波で情報伝達は容易です。
しかし水中ではそうはいかないのです。
というのも、電波というのは水中だとみるみる減衰していく特性がある為深海では到底機能しません。
そこで、水中での伝播力の高い超音波を使用することになるのですが、電波に比べると圧倒的に送れる情報量が少ないということも深海調査の妨げとなっています。
これは僕は全然知らない事実でしたので興味深いです。
なるほどWi-Fi来てねぇなぁ、とかそういう次元ではない大変さが深海にはあるのです。
深海の世界はどうなっているのか?
光の無い世界
日光が届くのは、1000mぐらいまでだと言われています。
しかしそれは人の目には検知できるレベルではない微量な日光であり、人の目に限って言えば200mも潜れば色は検知できなくなり、400mでは何も見えない状態になります。
そして微量な日光すらも届かない1000m以上の深海になると、光合成が出来ないために植物は一切いない世界になります。
水温も変わらなくなる
地上に近い水域では日光や地上の気温などの影響を受けますが、1000m以上の深海になると影響してくる日光すら届かなくなる為に水温が一定の2~4℃ほどになります。
普通に入ったらめちゃくちゃ寒い温度ですが、当然そこまで人間は生身では到達できないので心配する必要は無さそうです。
もちろん、探査艇で潜る場合も冷えますので必ず防寒対策はして潜ります。
探査艇は極限まで水圧に耐えるべく細かな設計が成されており、暖房なんて付けられませんので。
深海にも無数の生物がいるという不思議
とんでもない水圧、そして光の無い世界。
それでも生物はたくさん存在しています。
水圧も物凄い世界なので、身体を構成する様々な成分も地上近くを泳ぐ生物とは大きくことなり、水圧に耐え得る構造になっています。
また、深さによって大きな特徴があります。
まず日光が辛うじて届く1000mぐらいまでは、そのわずかな日光を少しでも検知しようと目が大きくて飛び出たようになっている魚が多く生息しています。
そして眼球は真上を向いている魚が多いのも特徴です。
これは、日光はここまで深いと乱反射を繰り返した挙句真上方向からしか降ってこないからです。
また、日光の届く範囲の魚はきらきらと光る銀色のウロコを持つ魚が多いのも特徴。
これは敵の目を欺くためです。
しかし、日光が届かなくなる深海では一気に変わります。
眼球も日光を検知すべく飛び出している必要もなくなるので、落ちくぼんでいる魚が増え、体色も暗い色の魚が増えます。
そして水圧の為なのかなんなのか、3000m以上の深海、そして超深海にもなると泳ぎ回るような魚や生物は減り、ほとんどが底を這うように泳いだりあるいは歩いたりする底生魚がほとんどになります。
このような深海の生物達は、まだまだ未知な部分が多いです。
例えば何を食べて生きているのか?
というようなシンプルな疑問でも、なかなか胃の状態や外見を保ったまま地上に持ってくることがとても難しいのです。
水圧の変化でそのままキレイに持ってくることが極めて難しいからですね。
まとめ
まだまだ謎だらけの深海の世界。
深海はただ潜るだけじゃん、なんて考えがちですが、その調査にかかる費用は膨大なものになるのだとか。
月には12人の人類が着陸したのに、深海最深部に到達した人類はまだ3人しかいない。
宇宙人とコンタクトを取るのが先か、はたまた魚人族の人に会えるのが先か。
宇宙同様、深海には夢と希望とロマンが詰まっているのです。
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