【十字(キリスト)・九字(修験道)を切る】九字と十字はどう切る?最低限の意味とやり方

映画やドラマで顔の前で十字を切り、祈る描写を見た事がありませんか?

日本ではあまり見かけませんが、海外の映画などでは割とよく見る描写かと思います。

また、日本では「九字を切る」と言う言葉があります。

これは漫画やアニメ、またはゲームなどでしか見ないかもしれませんが僕は結構好きな呪文(?)だったりします。

記憶が確かならば、『天誅』という忍者アクションゲームで出てきた記憶。有名なのだとナルトがよく口寄せの術で印を結んでます。

九字と十字。

漢字だけ見ればものすごく関連ありそうですが実際は全く関係ありません。

しかし両方とも指の動きで行うと言う点で共通しているため、今回まとめてご紹介いたします。

というわけで今回は、最低限覚えておきたい十字の切り方と九字の切り方。

意味とやり方もご紹介しますので、ぜひあなたも実践してみてニヤニヤしてみてください。

なお、できたところで何かが起こるわけではありませんのでご了承ください。

また、人前でやったら気持ち悪がられる可能性も高いのでその点もご了承下さい。

十字の切り方と意味

まずは十字を切りましょう。

「Oh, God. Why does God do such a mean thing!」

(神よ! なぜあなたはこのような卑劣なことをするのですか!)

とかなんとか叫びながら、天を仰いで十字を切る。

よく映画で見る光景です。

お察しの通り、十字を切る文化というのはキリスト教の様々な宗派に伝わる動きです。

全ての宗派で同じように十字を切るわけではなく、切らない宗派もあれば左右が逆な宗派があったりと様々です。

ではまず、ベーシックな十字の切り方を学んでおきましょう。

十字を切るやり方(動画あり)

まず、十字を切る時には右手を使います。

そして、正教会では指の形にも決まりがあります。

親指と人差し指と中指の三本をくっつけ、小指と薬指は握るように折り曲げます。

ちょうど黒板に描くチョークを持つような恰好ですね。

そしてその形のまま、額→胸の前→右肩→左肩と動かし、最後に両手を合わせて祈ります

※カトリック教会ではこれが逆になり、額→胸の前→左肩→右肩の順となります。また、カトリック教会には指の形の決まりがありません。

そして祈りの言葉も心の中で唱えなければなりません。

額に手を当てた時には「父と」

胸の前に手を当てた時に「子と」

右肩に手を当てた時に「聖神」

左肩に手を当てた時に「の名による

そして最後に手を合わせ、「アーメン」と祈りましょう。

では参考までに、カトリック教会バージョンを聖パウロ修道会サンパウロさんの動画にて見てみましょう。

何度もやってくれるので非常にわかりやすいです。

上記の通り、カトリック教会では肩に手を当てる動作が正教会のものに対して逆であり、また指の形も決まりがありません。

また、唱える言葉も「父と子と聖霊の御名によって」になり、微妙に異なる点には注意してください。

これで今すぐあなたもイエス・キリストに祈りが捧げられますね!

十字を切る意味

正教会の十字の切り方での意味は、指の形にも意味があります。

三つ合わせた指は三位一体(父なる神、子なるキリスト、そして聖神)を表します。

折り曲げた二つの指は、キリストの持つ両性(神性と人性)を表しています。

そして十字を切る意味というのは、基本的には日本人が神社やお寺などで神様にお参りする時のお辞儀と似たようなものであるようです。

教会に入る時、何らかの行事や儀式の時、あとは日常でもお祈りするとき、神様助けてと祈る時など、厳密にこの時は切っちゃだめ!という決まりはなさそうです。

神社仏閣と似た感覚、と考えれば比較的しっくり理解できる気がしませんか?

神様への浮気は得意な日本人ですから、これからは時折イエス・キリストへの神頼みも織り込んでみてはいかがでしょうか?

九字の切り方と意味

さて、大聖堂に気分が行ってしまっているかとは思いますが、お次は日本に帰ってきて頂いて一気に怪しさ満点の九字の切り方へと参ります。

そもそも九字を知らない方もいるかと思いますので簡単に説明します。

九字というのは、文字通り九つの字の事で、九字護身法という名が正しい名前です。

臨(りん)・兵(びょう)・闘(とう)・者(しゃ)・皆(かい)・陣(じん)・烈(れつ)・在(ざい)・前(ぜん)

の九つからなります。

日本の仏教系の諸々はややこしい遍歴であることが多く、この九字も同様です。

元は道教の六甲秘呪というもので、それが修験道など色々な宗教的要素と混ざり合い最終的には武士などが戦勝祈願に唱えるようになったり、護身の呪文と言われたり、忍者が保身の呪術として用いるようになったと言われています。

つまりは、難しく考えずにピンチの時やここぞという時に唱えるのだと思います。

※一応元は密教や修験道にも繋がる呪術ですから、遊び半分で唱えて恐ろしいことになっても責任は負えませんのでご了承ください。

そして何より……カッコイイ

例えば――

やばいなぁ、今日は大事な会議で緊張するなぁ、よし、一発唱えとくか!

臨!兵!闘!者!皆!陣!烈!在!前!

……すごく勝てそう(でも人に聞かれたらすごく引かれそう)。

九字の切り方

では九字を切りましょう。

この九字護身法は、十字を切った先程のアレとは異なり、結構ガチめの印を結ぶ必要があります

臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前

に対応する印として、

独股印・大金剛輪印・外獅子印・内獅子印・外縛印・内縛印・智拳印・日輪印・宝瓶印

を結びます。

こればかりは文字だと伝えられないので、まず動画を見てみましょう。

K.E.N-DIGITさんによる動画で、恐らくは海外の方向けに作られているので非常に丁寧でわかりやすく覚えることができます。

この印をパパパパっと結びながら九字を唱えられたら……めっちゃカッコイイと思いませんか?

出来る様になるには時間がかかるかもしれませんが、もしあなたのオタク心に少しでも響いたのであれば、覚えておいて損はないはずです。

九字の意味

臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前

という九字ですが、しっかりと意味があります。

武田信玄の風林火山はご存知でしょうか?

はやきことのごとく、しずかなることのごとく、しんりゃくすることのごとく、うごかざることのごとし――を、縮めたものが風林火山です。

この風林火山が漢文であったことと同じように、九字も実は繋がる文章になります

それは、

「臨む兵、闘う者、皆、陣列べ(つらね)て前に在り」

というものです。

これは、中国の晋の道教家であった葛洪(かつこう)が『抱朴子』(ほうぼくし)という道教の書に書かれていた一文であり、危険な山に入る前にはコレを唱えよ、として書かれていた言葉が元です。

正確な意味こそ分かりませんが、とにかく護身の為の強力な呪文として伝えられていたのです。

さらに、これら九字の印は、それぞれ毘沙門天・十一面観音・如意輪観音・不動明王・愛染明王・聖観音・阿弥陀如来・弥勒菩薩・文殊菩薩ら仏達が真言を唱える時の印にも対応しているという説があります。

しかし、wikiでも指摘されているのですがその順番が全く対応しておらず、ちょっと怪しい情報です。

一部wikipediaより引用すると、

ただし不動明王の印である独股印が毘沙門天、金剛界大日如来である智拳印が阿弥陀如来など、印の形と本地仏とは関連性のない配当がされており根拠は不明である。また外獅子印、内獅子印の二つはインド撰述の密教経典には見られない、日本独自の印である。

Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E5%AD%97%E8%AD%B7%E8%BA%AB%E6%B3%95より引用

とのこと。

これも紆余曲折あって今の形に落ち着いたが故の混乱なのかも知れませんね。

まとめ:キリストの十字と忍者な九字を切って安らかな日々を

キリスト教の十字の切り方はなんとか覚えられそうな気もしますが、九字を切るのはかなり大変そうです。

それでも覚えておけば、いざという時に役に立つかも知れません。

本気で覚えて実際九字を切ってみたら何が起こるのか?

人智を超えた世界が見れる可能性も十分あります。

それこそ丑三つ刻のように……

何にしても、信心深く何かを信じるというのは心の平穏に直結します。

神も仏も信じないクラッシャーな方も、是非この機会に少しだけ神秘に満ちた神の世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか。

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