学生時代のアルバイトでひたすら稼ぎまくっていた方にとっては、アルバイト中に身体に染み付いたいわゆるバイト敬語というものはなかなか抜けるものではありません。
何しろアルバイト内では通じる言葉ですし、丁寧な言葉でもあったからです。
しかし社会は厳しい。
そんなのどうでもよくね?
と、フリーター歴が長かった僕なんかもよく思ったものですが、僕だけが会社内でバイトのノリでの敬語を使っていると、段々と浮いてきてしまうのです。
そしてある日なんだか恥ずかしくなって、シレっと直すことに。
フリーター歴10年近く、そして今は正社員として会社に入って5年ほど。
そんな僕が実体験を元に、最低限覚えておきたいバイトのノリで使ってはいけない間違えやすい敬語をご紹介します。
これであなたもひとまずは社会人!
「了解しました」ではなく「承知しました」
僕が職場で使っていて最も衝撃だったのが、「了解しました」という言葉。
これ、丁寧語ではあるのですが、あくまでも目下の人物や同僚に使う言葉であって、目上の人に対する言葉としては不適切なのです。
ずっと無敵のフリーターだった僕は、「了解しました」以上に丁寧な言葉がこの世にあるとも思っていなかったので、正しい言い方、
承知しました
を知った時は衝撃でした。
正社員なりたての僕は、平気で社長に「了解です!」とか「了解しましたー」とか言っていたので今思えば恥ずかしい限りです。
他の言い方としては、
かしこまりました。
でも大丈夫です(かしこまりー、とか言っちゃダメです)。
わかりました、に関しては了解しましたと同様に丁寧語なので、目上の人に対しては不適切です。
また、更に丁寧に言いたい場合には
承知いたしました
とすれば完璧です。
一見「承知しました」だけだと丁寧さに欠けるようにも思えますが、「承知」という言葉だけで謙譲語となっているので、「いたしました」が無くても失礼にはなりません。
「いたしました」についての豆知識
ちょっとここでややこしい言葉、「いたします」についての豆知識。
いたしました、という言葉は、ひらがなで表記すると補助動詞として、漢字で表記すると動詞となります。
その為、今回の例で言えば「承知」であったり、よく使う言葉として「お願い」の場合は、それぞれ動詞なので更に動詞を繋げるとおかしいことになります。
つまり、
〇承知いたしました
×承知致しました
〇お願いいたします
×お願い致します
なのです。
じゃあ漢字表記で使うのはいつか? というと、
「その仕事は私が致します」
のように、致すを「する」という意味として使う場合などです。
ただし、少なくとも僕が今正社員として働いている上では、これを厳密に守れている人は少ない印象です。
僕の上司もドヤ顔で(想像です)、承知致しました、と使っていますし。
多くの方が「同じ意味であって漢字にするかどうかは自由」みたいに思っているんじゃないかなぁ、と。
つまりは厳密に気にしなくてもなんとかなると僕は思います。
もちろん、頭の片隅に置いておけば本当にしっかりした人と出会った時に恥をかかずに済むとは思います。
「ご苦労様です」ではなく「お疲れ様です」
お次は労いの言葉。
例えばあなたの上司が疲れた顔で帰ってきたら、何と声を掛けますか?
「社長、ご苦労様です」
なんて言ってしまっては大変。
「社長、お疲れ様です」
と言いましょう。
ご苦労様、の方は目下の人物に言う言葉ですので、目上の人に使っては失礼にあたるのです。
よくバイト敬語の使い方間違いでも挙げられる言葉なのですが、僕はワナだと思っています。
というのも、僕がずっとフリーター時代に教わってきたのは「お疲れ様です」の方だったからです。
正社員になって、「お疲れ様です」はきっと失礼なんだろうな、と思った僕は率先して「ご苦労様です」を使ってしまっていたのです。
完全に真逆の進歩、いや、退行をしてしまったわけです。
だってなんだか、お疲れ様ですも失礼な言葉な気がしません?
日本独特の不思議で万能な言葉「お疲れ様です」
この「お疲れ様です」という言い回し、英語には対応する言葉が無い事をご存知でしょうか?
日本人気質が良く表れている、不思議な労いの言葉なんですね。
アルバイトから社会人まで、非常に使い勝手の良い万能な言葉ですが、会社によっては「疲れてないのにお疲れ様と乱用するのはけしからん」と主張するような頑固な上司がいると快く思われない可能性もあります。
また、自社内以外の取引先などへのメールや電話では使わないようにしましょう。
社外には、これまた日本には不思議で便利な言葉があります。
特に世話になってなくても使える、
「お世話になっております」
という言葉です。
疲れてなくてもお疲れ様、世話になってなくてもお世話になっております。
海外から見ると不思議な国なんでしょうね。
当社、貴社、御社、弊社の違い
ちょっと何言っているかわかんないです。
――と、なりがちなのが〇社の使い分け。
僕はかなり苦労しました。
全部「我が社」とか「当社」でよくないですかねぇ?
と思ったものです。
では使い分けですが、
自分のいる会社内であれば、「当社」や「我が社」で何の問題もありません。
もっと言えば、仲の良い間柄の同僚などとでしたら「ウチ」とかでも問題ないわけで。
会社外の人物とやりとりする時には、基本的にはへりくだった言い方である
弊社(へいしゃ)
が無難です。
また、相手の会社を言い表す言葉には貴社(きしゃ)と御社(おんしゃ)があります。
意味に違いはなく、どちらも相手の会社を丁寧に言った言葉です。
ただし、貴社はメールなどの文面上でよく使われ、御社は会話の中でよく使われるという特徴があります。
これは諸説ありますが、貴社という言葉が「記者」や「汽車」など他の言葉にも聞き取れてしまう為に、会話上では御社の方が使われるのだとか。なるほど。
とりあえずこれだけ覚えとけばなんとかなる敬語一覧
では最後に、とりあえず覚えとけば大丈夫、という社会人が知っておくべき敬語をまとめるので参考にしてください。
お世話になります
社外の方とのやりとりに、最初の「お疲れ様です」代わりにどうぞ。
承知いたしました
「わかりました」、「了解しました」の代わりにどうぞ。
申し訳ございません
「ごめんなさい」や「すみません」ではなく申し訳ございませんと言いましょう。
ありがとうございます
感謝は全ての基本です。遠慮なく使っていきましょう。
少々お待ちください
賛否ある言い方ではありますが、浸透しているので全然使って問題ない言葉。しばらくお待ちください、よりもこちらで。
恐れ入ります
ありがとう、という気持ちに加えて申し訳ない、恐縮です、というニュアンスを足したい時に便利な言い方。
よろしくお願いいたします
文末などで大活躍する言い方。ただしこの記事内で説明したように、
よろしくお願い致します、だと間違いなので「いたします」はひらがな表記で。
まとめ
他にも細かく多くの尊敬語、謙譲語がありますが、あとはもう社会人として生きていきながら覚えていくしかありません。
それに、滅多に使わないような言い方も沢山あります。
最初の段階で恥をかかぬよう知っておきたいのであれば、ビジネス敬語の本を読みざっと頭に入れておくと良いでしょう。
1つ覚えておいて欲しいのが、どんなに頭に入れていても、間違える時は間違えます。
僕も書いてきたように失敗と赤っ恥の連続でした。それこそ吐きそうになるほどに恥ずかしい思いをいっぱいしてきました。
それでいいのです。
失敗すれば、より強く覚えられます。
怖がらずに社会人ライフを楽しみましょう!
以上、よろしくお願いいたします。←便利。
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