思考実験という言葉を聞いた事があるでしょうか?
簡単に言ってしまえば、ある特定の状況を想定し、その状況下での思考を様々な角度から行い深めていくことで論理的思考力をも鍛えることができる、一種の脳の遊びです。
多くの思考実験にはいわゆる「答え」というものはなく、また問いかけ自体が倫理的にアウトだったりするものも多いのですが、そのような思考を自由に出来る事もまた思考実験の良いところだったりします。
そして思考実験のもたらす閃きは、時に大きな大発見に繋がったりもします。
有名な例として、アインシュタインが光の速度についての思考実験をしたところから多くの疑問点などが浮かび上がり、それを基に特殊相対性理論へ行きついたという逸話があります。
このブログでも、「思考のタネ」というカテゴリーで今後頭の体操になるような思考実験を紹介していきたいと思っているので、ぜひ一緒にリラックスして思考してみて欲しいのです。
頭を使いますので脳が疲れたりもするのですが、より柔軟に考える力がつくように感じています。
そして、確実にボケ防止にもなる笑
とにもかくにも、まず今回は、宝くじについての思考実験をしてみたいと思います。
【思考実験】当たった宝くじを返す?
想像してください。
あなたは友人と一緒に宝くじを一枚ずつ購入しました。
そして宝くじの当選番号発表の日、あなたは友人と一緒にその様子をテレビで見ていました。
購入したくじは、あなたの一枚と友人の一枚をテーブルの上に置いてあります。
結果発表の瞬間、偶然友人に電話が掛かって来てしまい、友人は心配になったのか、くじを一枚手に取ってその場を離れ電話に出ました。
あなたはすぐに友人が持って行ったくじがあなたのものである事に気付きましたが、戻ってきたら教えよう、と思い結果発表を見続けました。
するとなんと、友人が持って行かなかった方のくじが的中していたのです。
賞金は5億円。かなりの金額です。
しかし本来はテーブルに残されたくじは友人のくじです。
でも、友人があなたのくじを間違えて持って行ってしまった。
——さて、あなたは正直にくじを友人と交換しますか?
それともそのまま自分のくじであると嘘をついて、賞金を受け取りますか?
まずは考えて、次に設定を少し変えてみる
まずはじっくり考えてみて下さい。
試しに僕も考えてみます。
まず僕なら、しつこいぐらいに宝くじが本当に当たったかどうかを確認するでしょう。
確実に、心から確信できるまでは繰り返し確認すると思います。
次に、友人がわざと取り間違えた可能性を考えます。
ただ、それは友人にとってもあまりメリットがないです。
しかし、もしかしたら「電話に急いで出るために適当に取った」とでも言われて、実はそっちが俺のなんじゃないか?なんて疑われる可能性もあります。
それよりも、この思考実験の核は「友人に正直に取り間違えた事を言い、くじを返すかどうか」にあると思います。
うーん、悩みますね。
賞金が莫大なので、正直に返す代わりに見返りを求める、なんていうのもアリですね。
ずる賢い僕なら、そのように誘導するかも知れません。
賞金がもっと安かったらどうするか?
思考実験のおすすめの楽しみ方と言いますか、より新たな発見がしやすいのが設定の変更です。
これが容易に出来るのも思考実験の良いところ。
そして、すこし状況設定を変えただけで自分の意見がガラっと変わる事もあり、それにより様々なとが浮彫になっていくのです。
例えば――
今回の宝くじの話で、もし仮に賞金が遥かに安い10万円だった場合、どうするか?
たったの10万円と捉えるか、それでもありがたい10万円と捉えるかでも考えは変わってくるかも知れません。
あるいは、そもそも賞金の金額は一切考え方に影響しない方もいるでしょう。
僕だったら、賞金の額で考え方はぐらぐらと揺らいじゃいます。
友人との関係性を変えてみる
次に、友人との関係性を変えてみてください。
例えば、あなたとその友人は実際にはいがみ合っていて、恨みも割とある嫌い同士。
それでもなんとなくたまに会うだけの関係。
嫌いな相手ですから、くじの事も言わないでおくでしょうか?
そもそも好き嫌いで左右されるような事でしょうか?
他にも、友人とは仲は良いのですが、あなたはとてもお金に困っていて、友人はかなりのお金を持っていたとしたら、どうでしょう?
友人はお金をたくさん持っているのだから、たまたま友人が取り違えたくじも神様のいたずらかも知れない、ありがたく貰おう――と思うか。
それとも、いやいやお金を持っているかどうかじゃなく、シンプルに友人に嘘をつき騙すことになる。いかなる状況でも友人を裏切るような事は出来ない――と思うでしょうか?
最後にもっとエグい設定をしてみましょう。
友人は病気を患っており、もう命が長くない事をあなたも知っています。
明日にも亡くなってしまうかも知れない友人。それでもあなたはくじを返すでしょうか?
思考実験では、あらゆる倫理的にアウトな状況も設定することが可能です。
そんなこと考えたくない、と思うかも知れませんが、そのような絶望的な状況を設定した時の方が自分の思考というのがよりはっきりと見えて来たりするものです。
まとめ:思考実験に答えはない。自由な発想と条件設定で論理的思考力を鍛えよう
いかがでしたでしょうか?
思考実験に答えはありません。
人の数だけ考え方もあります。
重要なのは、おふざけではなくしっかりと本気で思考すること。
そうすることで、思わぬ発見が出来たり、自分の意外な本性が見えたり、さらには論理的に考える力も鍛えられるのです。
小難しい事は考えず、単に本気で想像してみるだけで出来、かついつでもどこでもできちゃうのも素晴らしいですよね。
今回はとっつきやすく想像もしやすいであろう宝くじをモチーフにしましたが、知的興奮を味わえるようなとても面白い思考実験も数多くあります。
今後も思考のタネとして紹介していきたいと思いますので、ぜひ一緒に考えてみてください。
思考実験の本は多数出ており、基本的にどれも面白いです。
オススメの一冊を載せておくので、興味のある方はぜひチェックしてみて下さい↓↓。
コメント